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うつ病

うつ状態

うつ状態の種類

日常生活の中で憂うつになったり、気分が落ち込んだりといった感情の変化は誰もが経験します。

憂うつは様々なことから引き起こされます。

  • 現実にある悩みや不幸によって引き起こされる憂うつ: 自然災害や経済的・健康問題などにつづく憂うつです。
  • パーソナリティーによる対処の限界からの憂うつ: パーソナリティーにかたよりがなくとも、適応的なパーソナリティーの人が、環境の変化に応 じて適応に難儀し、抑うつとなることもあります。
  • こころの病としてのうつ病: 現実の不幸がもたらすものや、パーソナリティーによる対処の限界がもたらすものとは、質的 に違う憂うつです。日常生活で感じる憂うつな気分とは違い、喜んだり楽しんだりすることはも ちろん、悲しむことすらできなくなります。
  • うつ病以外のこころの病の症状としての憂うつ: こころの病(アルコール依存症、統合失調症、認知症など)の経過の中で現れる憂うつです。

うつ病

現在の「うつ病」はいろいろな幅広いうつ状態が含まれています。
精神科診断学の国際基準が規定する「大うつ病性障害」のうつ状態の範囲は、従来の「うつ病」よりずっと広いので、以前ならば「うつ病」と呼ばれなかった方たちまで、「うつ病」(大うつ病性障害)と呼ばれるようになっています。
現在は「うつ病」をまとめて1つの病気と考えることはできませんので、すべてのうつ病に効果のある1つの治療法があるわけではありません。
うつ病には患者さん一人ひとりに合わせた治療が必要となります。

うつ病(大うつ病性障害)の症状

基本となる症状

  • 気分が落ち込む(憂うつ)
  • 物事に興味がない、あるいは楽しめない

基本となる2つの症状に加えて次のような症状7つのうち5つ以上あり、それらがほとんど1日中、毎日、2週間以上ずっと続いているとうつ病と診断されます。4つ以下はうつ状態、抑うつ状態の診断となります。

  • 集中力や注意力などが衰えている
  • 人生の敗北者だと気に病む、家族に申し訳ないと感じる
  • 自分を責めたくなったり、自分には価値が無いと思ってしまう
  • 将来に対して悲観的な見方をしてしまう
  • 自分の体を傷つけたり、死んだほうがいいと思ってしまう
  • 寝られない、睡眠中に目が覚める
  • 食欲がない

うつ病の「からだ」の症状

人によっては、「からだ」の症状をより強く感じて、「こころ」の症状がみえにくくなっていることもあります。

食欲がない、何を食べてもおいしくない、からだがだるい、疲れがずっと残っている、からだが重い、体の痛みやしびれ、頭痛、頭重感、首や肩こり、腰痛、腹痛、胃部不快感、下痢・便秘、吐き気、のどの渇き、めまい・耳鳴り、頻尿、性欲の低下、月経の不順、など

うつ病の分類

いろいろな分類が提唱されており、そのうちの1つを紹介します。 この分類では、メランコリー親和型うつ病が従来から「うつ病」と呼ばれているものです。

メランコリー親和型うつ病

元来の性格 周りに合わせる、周りに配慮する、几帳面、基本的に仕事熱心
症状特徴 あせり、意欲がない、疲れきった感覚、申し訳なさの表明
薬への反応 多くは良好
環境 環境の変化に注意し、回復には休息できる環境が必要となる
予後 休息と薬で軽快しやすい

ディスチミア親和型うつ病

元来の性格 周りに合わせることに否定的で、合わせることはストレスであると抵抗。漠然と自分には本来は能力があると考え、もともと仕事には熱心ではない。
症状特徴 何も満足できない感じ、だるさ、他人への非難、衝動的な自傷
薬への反応 多くは部分的な効果
環境 環境の変化で急速に改善することがある
予後 休息と薬のみでは慢性化することもある

うつ病の治療

現在の「うつ病」はいろいろな幅広いうつ状態が含まれていますので、うつ病の治療といってもその方のうつ状態に合わせた治療が必要となります。

うつ病に用いられる治療について紹介します。

休息

十分な休息をとってこころとからだを休ませることはうつ病治療の第一歩です。

薬物療法

薬物療法の基本となるのが「抗うつ薬」です。
そのほかにも症状にあわせて「抗不安薬」「睡眠導入剤」「非定型抗精神病薬」「気分安定薬」などが使用されます。
抗うつ薬は、毎日欠かさず飲み続け効果が現れるまでに2週間から1ヶ月程度かかることもあります。
焦らずに服薬を継続することが必要です。
服用中に気になる症状があれば、軽いものでもすぐに主治医に相談することが重要です。

精神療法

  • 簡易精神療法
    こころのうちを言葉で表現し、自分でこころの問題を整理しこころを立て直すことができるようにします。
  • 認知行動療法
    なにか困ったことにぶつかった時に起こりがちな悲観的な物事の捉え方や考えのくせを改善することで、マイナス思考がうつ状態を悪化させる悪循環を断ち切る方法を学びます。
  • 対人関係療法
    うつ病を引き起こす要因となった対人関係の問題を解消することで、ストレスを軽減させる目的で行なわれます。

運動療法

心臓に負担とならない程度のウォーキングなどの有酸素運動を行なう治療法で、薬物療法と組み合わせて行ないます。

修正型電気けいれん療法

全身麻酔と筋肉のけいれんを抑える薬を使用して、脳に数秒間の電気刺激を与える治療法です。
重篤な場合やいらいら感が強い、死にたい気持ちが強い、まったく食べられない、副作用のために薬物療法が難しい場合などに用いられます。

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